映画部1月の活動第1弾は、
岩井俊二監督の新作『ラストレター』に行ってきました。
松たか子、福山雅治、広瀬すず、神木隆之介、庵野秀明といった豪華キャストに加えて、映像美で有名な岩井俊二監督の作品ということもあって、3ヶ月前から楽しみにしていた今作品。
蓋を開けてみると、
期待を裏切らない美しい映像の数々に、人の心の深い部分を静謐に辿る脚本、
鑑賞後は「良い映画を見たな」という満足感でいっぱいでした。
映像が綺麗すぎて広瀬すずが天使にしか見えないシーンが4回ほどあるので、
広瀬すずが苦手な人にもお勧めです。
さて、ここからはネタバレにならない範囲で映画の感想を書こうと思うのですが、
「何の情報も入れずに純粋に映画を観たい!」という人は、ここから先は読まない事をお勧めします。
本作は、『ラストレター』というタイトルからも分かる通り、
手紙が作中においてとても重要な役割を果たしています。
電子メールやLINEの登場によって手紙を書く人はどんどん減っていますが、
この作品を観る事で手紙の素晴らしさを改めて発見することができました。
テクノロジーが発達するにつれて、文章を使ったコミュニケーションに必要な時間はとても短くなりました。
これは確かに便利で楽ではあるのですが、
一方でコミュニケーションそのものが短いものになっている気がします。
自分自身の行動を振り返ってみても、LINEで便箋1枚分の文章を送ったことはありません。
まあ、実際に便箋1枚分の文章がLINEで送られてきたら気持ち悪いでしょうが。
ただ、自分の中に何か相手に伝えたい思いがあった時、
LINEや電子メール、もしかしたら実際の会話よりも、
手紙の方が正確に言いたい事を伝えられるのではないか、と
『ラストレター』を観ていると思えてきます。
落ち着ける場所でゆっくりと書いた手紙の文章は、
口から飛び出る言葉よりも、短い言葉の往復よりも、
自分の感情と向き合った自分らしいものになるのではないでしょうか。
また、形のあるコミュニケーションというのも手紙の大きな特徴の一つな気がします。
手にとって感じる事ができる紙の質感、人それぞれの文字のクセ。
そういった色々な要素が手紙には詰まっているから、
人から貰った手紙は捨てにくかったり、宝物になったりするのかもしれません。
『ラストレター』は、手紙に綴られる登場人物の心の内側、映像美、音楽が合わさって、
どこか文学と映画を融合したかのような趣きのある作品でした。
また、『ラブレター』という岩井俊二監督の別の映画との関連性も注目ポイントの一つですので、
興味のある方はぜひご覧になってください。